王室御用達の靴屋は彼女の足元にひざまづく

 智恭は真っ赤になった晴恵の肩を抱き寄せて、彼女の頭の天辺に口付けた。

「はいはい。さあ、靴屋とその恋人さん。花嫁と花婿を祝福しておいで」

 ルネとカミーラに見送られて二人は陽菜とフリッツの結婚式へ出かけた。

 空は晴恵の名前のように快晴。
 神社で厳かに神前式が行われ、妹とその恋人は夫婦となった。

 新夫婦がお色替えをして、ガーデンパーティが始まる。
 人懐こい二人にふさわしい、温かいスピーチの数々。晴恵は美味しい料理とともに、拍手したり笑ったりして楽しんだ。
 和やかにときは過ぎ、最後にブーケトスが行われる。

「独身の紳士淑女、どうぞ前に!」

 司会者が陽気に声を張り上げる。ワっと参列客が沸いた。
 晴恵は智恭に「取ってこいよ」と唆されたが、恥ずかしくて前には出なかった。

「せぇーのっ」

 掛け声と共に花嫁が放り投げたブーケは放物線を描いて、女性客の手に届いた。きゃあっと歓声が響く中、智恭が立ち上がり、彼は晴恵の足元にひざまづいた。

 晴恵がどきどきしながら見つめていると智恭はポケットから小箱を取り出した。
 会場のざわめきとは別の静かな風が二人を包む。