王室御用達の靴屋は彼女の足元にひざまづく

「ルネに靴を納品してるんだ」
「日本語では『ブツブツコウカン』というんだよね」

 ルネがニコニコしながら言った。
 こんな恐ろしい物々交換を晴恵は今までしたことはない。
 気をとりなおし。

「…………そういえば、何で日本にルネさんがいるんですか」

 たしか、彼はパリにアトリエを構えていたはずだ。
 恐ろしい予想が晴恵の脳に浮かんだ。
 絶対に違う。
 なにかの、例えば日本出店とか東京コレクションの為の来日であってほしいと必死に願う。

「トモに呼ばれたからね」
 
 にっこり微笑むデザイナーを前にして、晴恵は失神しなかった自分を褒めてあげたいと思った。

 ……プレタポルテがハンガーごとやってくるという経験をした。
 ついでにルネがサブブランドとして展開しているラ・ジョイアという全世界女性憧れのランジェリーショップも目の前に繰り広げられている。