王室御用達の靴屋は彼女の足元にひざまづく

 恋人に濡れた双眸で見つめられた智恭がわざとらしい咳払いをした。

「まず、結婚式のドレスだ。晴恵、ルネ・リュウって知ってるか」

 智恭は今が旬のデザイナーの名をあげた。

「知ってる。なんかの映画祭で女優からオファーから殺到した人でしょ?」

 答えながら晴恵はなんのための質問かわかっていなかった。

「そうらしいな。行くぞ」
「え?」

「ルネには突貫作業してもらうからな、なるべく早くデザインを決めてしまおう」
「え、え?」

 事態をのみこめてないのに、一等地にある高級メゾンに連れていかれた。
 
「トモ!」
「ルネ!」

 二人はガッと拳をぶつけた。

「君かトモを射止めた姫君か!」

 メディアの向こう側の人種に笑いかけられて、晴恵はぽうっとなる。
 智恭が彼女の肩を抱いた。

「あんまり見るな、俺のだ」

 ルネが苦笑する。

「……誰に対してもクールなトモとは思えないね」

 ルネの言葉を智恭はスルーした。

「早速だが、晴恵のドレスを頼む」

 智恭に頼まれた途端、ルネは友人からデザイナーの顔になった。