王室御用達の靴屋は彼女の足元にひざまづく

 指摘されるや陽菜は泣き出した。智恭が慌てて晴恵にSOSメールを送っているうち、やがて眠ってしまったという。 

 智恭が晴恵をじろりとねめつける。

「言っておくが、妹があそこまで幼いのは周囲が甘やかしたからだぞ」

 自覚はある。
 妹を溺愛する晴恵に、母が苦笑していた。
 陽菜がフリッツと恋仲になってからは、彼と晴恵の二人して可愛がってきた。

「……はい」

 智恭はしゅんとした彼女のひたいにキスをすると、優しく抱きしめる。

「ま、これからは妹が晴恵にひっついてくるたび、俺が引き剥がして、あの溺愛亭主にぶん投げてやる」

 妹より晴恵を優先してくれる存在が大好きな人なのが嬉しい。

「うん」

 晴恵はにっこり笑うと背伸びして恋人の唇に触れるだけのキスを贈った。
 智恭の頬がうっすらと染まる。

「……くそ。ベッドに戻りたい」
「ん?」

 無邪気に見上げてくる晴恵をしばらく見つめると、やがて智恭はふんわりと笑った。

「晴恵はこの家にいる限り服を着る必要はないが」
「……え」

 男の言わんとすることに気づいて、晴恵の目が丸くなる。