呆れたように言われ、少し考える。

 もしかしたら、彼に言えばさなちゃんの家のことなど教えてくれるかもしれない。

 そうすれば、さなちゃんにとっては……。

 と、そこまで思い、辞める。

 さなちゃんのためという名聞の元に、自分が楽をしようとしている気がしたから。



「うん、迷子と言えば迷子なの。だから地図貸して欲しい。暗くなる前に行きたいから」



 自分が引き受けると覚悟を決めた以上、やっぱり彼を巻き込むのは卑怯な気がする。

 地図さえあれば、とりあえず家にはたどり着けるだろう。

 その先はそこから考えればいい。



「ちょっと待っていろ」



 彼は案外すんなりと家の中に地図を取ってきてくれた。

 そう考えると、こんな風な関係性でなければ普通の親戚として仲良く出来るのかもしれない。



「ほらよ」

「ありがとー」