あれからどれぐらい泣いていたのだろうか。

 私からすれば数分のことも、もしかしたらもっとだったのかもしれない。

 それでもシンは何一つ文句を言わず、ただ側にいてくれた。



「……ごめんね……ありがとう」

「んぁ? ああ。ちっとは落ち着いたか?」



 シンの言葉に、私は少しぎこちなく視線を合わせた。

 こんな近い距離で、しかもすがり付いていたなんて。

 今更ながらに恥ずかしさが、込み上げてくる。



「うん。シンのおかげで、少し落ち着いたよ」

「それならいいんだが……。すんごい、不細工な顔になってるぞ?」



 考えるよりも先に足が出る。



「な、だ、だからいってーって」



 蹴られた脛を押さえ、シンがびょんびょんとその場で跳び跳ねていた。

 先ほどの、嬉しくて照れくさい気持ちを返して欲しいものである。

 言われなくとも、散々泣いた顔が酷いだろうことなど分かっている。

 それをいちいち口に出した当然の報いだ。