「3年前の入学式の日から
ずっと姫野さんを
目で追いかけてたよ」
「っ…?」
「気づかなかった?」
「うっ……うん」
「好きって想いを詰め込んで
姫野さんを見つめてきた
つもりだったけど。
僕の恋熱も
まだ生ぬるかったかな?」
渚くん
照れたように笑わないで。
心臓の負荷が、半端ないから。
私を好きってほんとなの?
渚くんだよ?
今日の卒業式で
ネクタイ、ブレザーのボタン
シャツのボタンですら
争奪戦が予想される
王子様だよ?
でもでもでも……
「滝川君たちが言ってたよ。
渚くんが私を好きになるなんて
絶対にないって」
ないわ、ないわって
連呼してたし。



