先生にスリッパを借りて
男の子のところに。
「先生が
これ履いていいよって」
スリッパを差し出したら
真ん丸な目を
さらに大きく広げた美男子が
「ありがとう」
顔を真っ赤にして
私に微笑んだから
ズキュン
私の胸が
後ろにのけぞりそうなほど
激しく撃ち抜かれちゃった。
それが私の初恋。
渚くんも
覚えてくれてたんだ。
「僕ね高校の入学式の時
すっごく緊張してたんだ」
「そうなの?」
「友達出来るかな?とか
クラスに馴染めるかな?とか
いろいろ考えちゃって」
意外だぁ…
「不安でメンタルが
病んでた時だったからかな?
上靴を忘れただけなのに
すっごく動揺しちゃって。
あの時の僕
オドオドしてたでしょ?
思い出すのも恥ずかしいよ」
いつも優雅に微笑む渚くんでも
不安になることがあるんだね。



