急いで資料室のドアをあけ

勢いよく
一歩を踏み出したのに


「姫野さん?」


目の前には
驚き顔の渚くんが迫っていて


走り出した私の体は
ブレーキなんか掛けられなくて


ドン


思いきり
渚くんの胸元にぶつかっちゃった。



前のめりで倒れこんだ私。


体中に痛みが走っても
おかしくないのに

痛いところなんて
どこにもない。


むしろ
優しいぬくもりに
包まれていて心地いい。



ここって天国?

良い匂いまでする。


ん? んんん???



ひゃぁぁ!!

天国には間違いない。

間違いないけど……


「姫野さん
 痛いところない?」


床に仰向けに倒れる渚くんに
抱きしめられていてるよ!