お昼休みになりました。


お弁当を食べる準備でにぎわう教室の
一番後ろの窓際。


この特等席で
頬杖をつく私の視線は

廊下側で
最前列の席に座る男の子に
突き刺さっている。



渚君の席は
私から一番離れた場所



男女問わず優しい笑顔を振りまく
渚くんを見て、ため息が漏れる。



渚くんは普段から
私にも挨拶はしてくれる。


姫野(ひめの)さん、おはよう』


サラサラな髪を揺らしながら
細くて長い首を傾けながら
ニコって。


でもそれだけ。
それ以上の会話はなし。

私との挨拶が終われば
別の子に微笑んでいるしね。


本当は
『渚くんの特別』になりたいな。


『渚くんの彼女』という
特等席が欲しいな。



まぁ

地味で可愛くない私が
選ばれるはずないことくらい

自分で一番よく
わかっているんだけど。