自分の席に座り
登校してくる姫野さんを待つ。


僕の周りに
だんだんクラスメイトが
集まってきちゃったけれど


一番前の廊下側の僕の席は
入り口のすぐ近く


姫野さんが通り過ぎた時には
最高の笑顔で挨拶をするんだ。


もっともっと
僕だけに惚れて欲しいから!


そう思っていたのに……


廊下を歩く姫野さんは
前の入り口の前を通り過ぎると

後ろの入り口から
教室に入ってきた。



「由奈、後ろから入るなんて
 珍しいじゃん」


親友の結城(ゆうき)さんに突っ込まれて
「たまにはね」と笑っている。