床を捉えていた視線を 上にあげようとした瞬間 「ごめん、姫野さん」 オルゴールみたいに 品のある声が降ってきた。 ドキリ。 胸が飛び跳ねる。 そのせいで 視線を上げる勇気が 逃げ出しちゃった。 「僕がぶつかっちゃったせいで 痛かったよね? 大丈夫?」 焦りが含まれていている この大好きな声の主は まさか…… 覚悟を決め 床にお尻をついたまま ゆっくりゆっくり 視線を上げる。 その先には 片膝を床についた王子様が 心配そうに 私を見つめてくれているでは ありませんか!