手が震えてなかなか上手く鍵が開けられなかったけれど、何とか空いたドアに身体を滑り込ませた私はドアを背にへなへなとその場にしゃがみ込んだ。


心臓が、バクバク言っている。



ーーー私は、私は一体何を………！



でも、さっきの和泉さんのあの切ない表情を見せられたら。

あの"お願い"を聞いてしまったら。

どうしても、言わずにはいられなかった。


恋愛的な"好き"とかはまだ全然分からないけれど、それでも知っていて欲しいと思った、私が今和泉さんに感じていること、思っていることを。


和泉さんがいつもストレートに気持ちを伝えてくれるから、私もそれに絆されてしまったのかもしれない。


でも結局恥ずかしさに耐えきれずに、あんな風に言い逃げみたいな形になってしまったけれど……。



……って、あれ？待ってこれって次会う時に何か気まずいやつじゃない⁉︎（一方的に）



うわー………！どうしよう、やってしまった………！



後先考えずに起こした己の行動のせいで、私は頭を抱え玄関にうずくまったまま、そこからしばらく動けないでいたのだったーーーー。