「え?おだんごにしたけど………」

「………お、おお………!それはいいじゃないですか!」


私の答えにまた身を乗り出して来た。

ひょっとして、いつもの引っ詰め髪で行ったと思ったんだろうか……。


「で、メイクは⁉︎それこそまさか、まさかですけど………っ、」

「それはいつもの………、だけど………?」


私を質問攻めにしていた珠理ちゃんが、そこでガックリと肩を落とした。


「…………もうっ!灯さん、どうして私に相談してくれなかったんですか!灯さんの記念すべき初デート、私が服選んだりヘアメイクしたりしたかったです!」

「あ、そうか、和泉さんに直接聞くんじゃなくて珠理ちゃんに相談すれば良かったのか」

「そうですよ〜!何でそこで思い出してくれないんですか!」


これまで希薄な人間関係しか築いてこなかった私には、そもそもそんな発想がなかった。

確かに珠理ちゃんに相談していたら的確なアドバイスをくれただろうな。

むくれる珠理ちゃんを見ながら、ごめんごめん、と苦笑を浮かべて謝る。