でも私の耳元から顔を離し、至近距離でその焦茶の瞳に私を閉じ込めた和泉さんは、ハッとした顔をした。




「……はぁ、参ったな、また無防備にそんな顔して……。……いや、うん、まぁ仕掛けたのは僕なんだけど……」




そして私の手を掴んでいない方の手で口元を覆った和泉さんが、耳を赤くしながら私から目線を逸らし、何やらぶつぶつ呟いている。



ーーーまるで、見えない何かと葛藤しているように。



でも、もはや心臓にとどめを刺されてしまい瀕死状態の私にそれを気に留める余裕など、微塵もなかったのだったーーーー。