「何ですかこれ。こんなのもう絶対美味しいに決まってるじゃないですか。比呂さん天才ですか!」
「はは、灯ちゃん好きそうだよね、甘い、しょっぱいの組み合わせ」
「大好きです!」
にやける顔を抑えつつパッと横を向いて即答すれば、そんな私と目が合った和泉さんは一瞬驚いた表情になった。
でも、その瞳が今度は困ったように弧を描く。
「………灯ちゃん………、それはちょっと破壊力が」
「はい?それより和泉さん、いただいてもいいですか?」
赤くなった顔を片手で覆った和泉さんが何かをぽそりと呟いた時には、私はもう目の前のサンドイッチにロックオンで。
だから和泉さんの異変には全く気付いていなかった。
何せ今日は朝から心も身体もいろいろ忙しなかったせいで、私のお腹は早くその美味しそうなサンドイッチでエネルギー補給を!と訴えていたから。
「……うん、もちろん。食べようか」
すると、ふ、と空気を揺らすように笑った和泉さんがそう言って、私たちのピクニックは始まったのだった。



