……どうしよう。ゴールデンウィークの予定がないと言い切ってしまった手前、今更お断りする理由がない……。

馬鹿正直に答え過ぎた先ほどの自分を少し後悔する。


「灯ちゃん、毎週水曜日は僕と一緒にランチしてくれるんじゃなかった?」


「うっ……!」


悪戯っぽくそう聞いてくる和泉さんに私は詰まってしまう。

まさか祝日の水曜日もその約束に当てはまるとは思いもしなかったけれど、今ここでその約束を持ち出すあたり、和泉さんはたぶん私が渋ることを見越してわざと水曜日に定めてそういう誘い方をしたんだ。


「3ヶ月間、お試しのお付き合いもしてくれるんじゃなかったっけ?」

「……く……っ!」


さらに追い討ちを掛けるようにそう問われてしまえば、もうぐうの音も出ない。


どうやらデートしてくれませんか?なんて聞いた割に、しないという選択肢は最初から私に与えられていなかったらしい。

和泉さんって、実はちょっと意地悪⁉︎

この前からまんまと和泉さんに乗せられている気がしてならない。

でもあの日、不可抗力とは言え3ヶ月のお試しのお付き合いを了承したのは私。

和泉さんが私のどこを気に入ったのかさっぱり分からないけれど、佐原くんに言われて約束の3ヶ月間はきちんと和泉さんに向き合ってみようかという気持ちになっていたことも確か。


「ははっ、ごめんね、意地悪で。でも逃すつもりはないんだ」


だから、ごめんねと笑うくせにやっぱり強引なこの人の誘いに、私は乗らざるを得ないのだ。