でも無事見積書も作成し終えて帰り支度をしていたら、途端に消化しきれていない昼間の出来事がわぁーっと押し寄せてきてしまい。


"……珠理ちゃん、緊急事態。ヘルプ"


デスクに突っ伏した私は、隣の珠理ちゃんにSOSを出した。

私にしては珍しい行動だ。

基本必要最低限の人付き合いしかして来なかった私は、仕事ではもちろん別だがプライベートではいついかなる時、どんなことがあっても大体のことは自力で何とかしてきた。

だけど、これは、こればっかりは自力では何ともし難い。

告白とか付き合うとか、今までそんなの全く経験のない私が1人で考えていたってもはや答えなんて出るはずもない。

だからこんな時、今の私に頼れるのは珠理ちゃんしかいなかった。

入社時からずっと隣で一緒に仕事をしてきて、少々思っていることをズバズバ言い過ぎな節はあるが、彼女が信頼に足る人物だということは分かっているから。

そしてそんな私の様子で何かを察したらしい珠理ちゃんは、


"ひょっとしてひょっとしなくてもイケオジ絡みですか⁉︎じゃあここは佐原も呼び出しましょう!"


そう言うや否や帰ろうとしていた佐原くんをガッチリ捕獲して、あっという間に今のこの会が成立したのである。

……何か巻き込んでごめん、佐原くん。