「……ねぇ珠理ちゃん。正直に教えて。私に女としての魅力があると思う?」

「え、随分唐突ですね!女としての魅力ですか?正直に言っていいんですか?」

「うん、お願い」

「女としての魅力、全然足りてませんねぇ」

「うん。そうだよね、うん、知ってた」

「おい、中村、おい」

「いいの、佐原くん。私は今、その率直な事実こそが聞きたかった」


衝撃のランチから数時間後。仕事を終えた私と珠理ちゃんと佐原くんは、会社近くの大衆居酒屋のテーブル席にいた。

そして開口一番この質問。

このメンバーで飲みに来るのは初、というか歓送迎会や忘年会など、強制参加の社内の飲み会以外で職場の人と飲むこと自体、私にとっては初めてのこと。


なぜこんなことになったのかというと……。


放心状態でランチから戻ってきた後、珠理ちゃんにリップの効果はどうだったかとウキウキ聞かれた私は、当然のことながらとてもじゃないけど答えられる精神状態にあらず。

その様子を訝しまれながらも、ちょうどタイミングよく営業部の人から今日中に仕上げて欲しいという見積書の依頼を受け、普段ならもっと余裕を持って回せと心の中で悪態をつく私もこれ幸いにとばかりに、脇目も振らずにパソコンに向かった。