……ああ、好きって、人としてとか友達としてってことですね?

一瞬びっくりしちゃったじゃないですか。

まぁ、よく考えたら、いや、よく考えなくてもこんなイケオジが恋愛的な意味で私を好きとか言う訳ないもんね。一瞬でもそう変換しようとした私の脳みそを殴ってやりたいわ。

和泉さん、言い方が紛らわし過ぎます。


ところがそう結論づけた私の元へ近寄った彼は、そっと私の頭上の花びらを取ってくれながら言った。


「……言っておくけど、今僕が灯ちゃんに伝えたい"好き"は、人としてとか友達としてとかじゃなく、1人の女性として"好き"って言う意味だよ?」


顔に、出ていたのだろうか。

せっかく導き出した結論があっさり覆されて、ランチが終わる頃にはすっかり落ち着いていたはずの動悸がまた激しくなる。


「は……⁉︎ちょ……っ、と待って下さい!和泉さんって、そういう冗談言う人でした……⁉︎」


焦りと動揺からずさっ、と後退る。

真っ赤な顔で手の甲で口元を覆う私を見て、いつもの柔らかな笑みの中に妖艶さを滲ませた和泉さんは私が後退った分以上に距離を詰めてきた。


「あはは、慌ててる、焦ってる。そんな灯ちゃんも新鮮で可愛いね」

「……ひょっとして、和泉さんは結婚詐欺師か何かですか⁉︎私みたいな地味な女をターゲットにしてお金を引き出そうという魂胆とか……!」


そう一息に言い募った私を見て堪らず、といった感じで吹き出した和泉さん。