「そっ、そんなことないです……っ。きょ、恭加さんにたくさん愛されて、とても幸せな夜……、でしたから……」

「灯ちゃん……。今名前呼ぶのは反則……。それに、一体どこでそんな可愛い言い回し覚えて来たの……」


昨日散々喘がせながらたくさん呼ばせたから、昨日よりは割とすんなりと呼べるようになったのだろう。

でも、突然放たれた殺し文句とも言えるそれに、灯ちゃんの旋毛(つむじ)に顔を埋めながら〝はぁ……〟とも〝うぅ……〟ともつかない呻き声が漏れた。

この無自覚天然娘め……。


「……あ……」


そして、彼女のその一言が僕の下半身に大打撃を与え、大いに反応してしまったことに気づかれてしまったらしい。まぁこれだけ密着していたら当然だ。


「……うん、ごめん。でも、これは朝から可愛いこと言う灯ちゃんが悪い」


彼女の滑らかできめ細やかな色白の肌が、首まで赤く染まる。それにさらに反応しそうになる僕は、本当にもうどうしようもない。

でも、さすがに昨日の今日では自粛しなければ。

灯ちゃんが昨日買って来てくれたパンもあることだし、今朝の〝あと五分〟の時間は早々に切り上げた方が良さそうだ。


「よし。今朝はお詫びを兼ねて僕が朝食を作ろう。灯ちゃんはその分、もう少し身体を休めておいて?」


僕の劣情が灯ちゃんを離せなくなる前に、気持ちを切り替え彼女の旋毛にキスをひとつ落としてから先にベッドを抜け出そうとすれば、腕を掴まれ引き止められる。
 

「あっ、だ、大丈夫です!私が……」


言い終わる前に僕は彼女の手をそっと反対の手で取り、薬指にキラリと光る指輪に口づけた。

そしてニッと口角を持ち上げて、灯ちゃんの耳元で囁く。