「ーー灯ちゃん。この下に、着てる?」


和泉さんが、急にさっきまでとは違う男の顔をして、Tシャツワンピースの首元に人差し指を引っ掛けてピッと弾く。

……き、きた……!


「……は、はい……」

「じゃあ、早速見せてもらおうかな」


そう艶美に微笑んで、そのままワンピースの裾をゆっくりとたくし上げてくるから、私は慌ててその手を掴んだ。


「……ん?」

「……き、着るとは言いましたけど、見せるとは言ってません……!」

「……うーん、そう来たか」


和泉さんが私の上に跨ったまま、男の顔を少し崩して可笑しそうに笑った。


……かなり、苦しい悪あがきをしている自覚はある。


でも和泉さんは、あの時『これ、今日着てくれる?』と言いはしたけれど、『着たところを見せて』とまでは言っていない。

よって私も、着ることは了承していても、見せることまでは了承していないということになる。

一休さんのとんちか!と自分でも思うけれど、あんな恥ずかしい姿を晒すのは何としてでも回避しなければならない。


「じゃあ、今日はこの下は隠したままシようか?それはそれで、背徳感があって堪らないねぇ」