ーーあの夢のような週末を経て、月曜日。


和泉さんと結婚を前提に正式にお付き合いすることになったこと、未来の約束を交わしたことを出勤してすぐ、珠理ちゃんに真っ先に報告した。

すると私の薬指に輝くリングを見て、そのくりくりの瞳に涙を溜め、『灯さん、良かったですねぇぇぇ……!』と私を抱きしめてくれるから、危うくこちらまでもらい泣きしてしまいそうになって朝から大変だった。

佐原くんも、そんな私たちの様子を見て優しく(まなじり)を下げ、『良かったですね』というようにこくりとひとつ頷いてくれた。


2人には本当にいろいろとお世話になったし、改めてお礼がしたいと言えば、


「ガッテン承知の助!私もいろいろ詳しく聞きたいですし、お任せあれです!」


と目をキラキラさせた珠理ちゃんの相変わらずの行動力により、あれよあれよという間にその日の終業後には、いつの間にかこのメンバーで来るのがお馴染みになったあのいつもの居酒屋に集合していた。


「いやー、本当におめでとうございます、灯さん!!元カノが登場した時にはどうなるかと思いましたけど、本当に本当に良かったぁぁぁ!!」

「おい、落ち着け中村。お前それ、もう何度目だよ……」

「ううん、何度でも嬉しいよ、佐原くん」

「灯さんが幸せになって良かったぁぁぁ。うっ、うっ……」

「って、今度は泣くのかよ。一杯しか飲ませてないのに、お前の情緒どうなってんだ……」


そのツッコミに思わず笑ってしまえば、目尻から涙がこぼれそうになって慌てて拭う。


乾杯して早々、和泉さんと正式にお付き合いするに至った経緯を報告してからというもの、珠理ちゃんはずっとこの調子だ。

でも自分のことのように何度も喜んでは目を潤ませてくれる珠理ちゃんに釣られて、私の方もとっくに情緒がおかしくなっている自覚はある。