そして運ばれた先は、リビングの隣にある寝室。
サイドテーブルのランプだけに淡く照らされたそのラグジュアリーな部屋では、壁の一面に設置された大きな本棚と広いベッドが一際存在感を放っていた。
そのベッドにそっと降ろされ、2人の身体がゆったりと沈む。
それからは、服を脱がされる過程が死ぬほど恥ずかしくて。
さらに脱がされたあと、和泉さんの前で下着だけのあられもない姿を晒していることに泣きそうになって。
急いでシーツを手繰り寄せてそれを隠そうとすれば、その手はベッドに縫い止められてしまい。
そんな私を和泉さんは愛おしさと情欲の混じった目で上から見つめながら、「灯ちゃん、綺麗だ」と、額から鼻、頬、さらには鎖骨、胸へと、上から順番にキスを落として来る。
そのたびに身体が小さく震えて跳ね、口からは甘い吐息がこぼれた。
「可愛い」
その蕩けそうな表情に、より一層身体は敏感になる。
そして唇だけじゃなく、その手が、指が、今まで誰も触れたところのない部分に触れて擦って嬲るたびに初めての感覚が身体を駆け巡り、今度はぐずるような喘ぎ声が自分の意思とは関係なく漏れて。
抑えようとすれば、
「感じてる声、もっと聞かせてーー」
と和泉さんは容赦なく攻め立てて来る。
そうなれば自分の身体なのに、もう全く制御が効かなくて。
身体の中心で燻っていた熱が迫り上がってきて弾ける感覚も初めて味わった。
そうして囁かれる甘い言葉と手によってゆっくりと溶かされ開かれていった身体に、和泉さんの熱が押し入って来る。
「……っ、あ……っ!」
その想像を超える圧迫感に私は息を詰め、ギュッと目を瞑って縋るようにシーツを握った。
「……っ、大丈夫、灯ちゃん、こっちを見て、ちゃんと息、して……?」
和泉さんは苦しげな呼吸の中、シーツを握り締める私の手をその大きな手で包み込み、まるであやすように額に、瞼に、鼻に、そっとキスを落としていく。
そしてそれに安心してふ、と少し力が抜けた時、押し寄せてくる途方もない熱の塊が、完全に私の中に飲み込まれた。
その感覚に心も身体もいっぱいに満たされ堪らなくなった私は、和泉さんの首に手を回してキスをせがむ。
少し苦しそうに顔を歪め甘い吐息を漏らしたあと、ふ、と柔く笑んだ和泉さんから与えられたキス。
最初は啄むように、それからだんだん深く。
「す……き、です……」
どうしても伝えたくなって、その合間に何とか滑り込ませれば、
「僕も、大好きだよーー」
蜂蜜のように蕩けて艶めく声が私の鼓膜を優しく揺すって、直後、私はそのままさらに深い快楽の波へと攫われていったのだったーー。



