「……そ、それは……、まだどうにも……」

「お前なぁ、」

「でも明日!明日会う約束をしているので!その時自分の気持ちを言うつもりでいます……!」


いかにもお説教が始まりそうな呆れた視線を投げて寄越した比呂さんに、私は食い気味で被せた。


「……ほー?じゃあその変身ぶりといい、ないって言ってた自信は、ちゃんとついたってこと?」

「……自信……というか、勇気、というか……。いろんな人からパワーをもらって、とにかくうじうじしてないで今自分に出来る精一杯のことをやってみようと……」

「おー、それはいい傾向だな」


もごもごと言う私に比呂さんが優しく表情を解す。


「ーーでもその前に、このタイミングで再会した樹くんとちゃんと話してケリをつけておきたいことがあって」

「なに、突然物騒。タイマン的な?」


タ、タイマン……?


「……ま、まぁ、そんなところです」


1対1でケリをつけるという意味では、まぁ合ってるか。


「……ふーん?んじゃ、まぁお兄さんはここでそっと見守っててやるから頑張んな。で、いざという時は助太刀してやるよ」

「……助太刀って、別に、取っ組み合いのケンカする訳じゃないですよ?」

「分かってるわ、バカ」

「…ふふ」


比呂さんの優しさについついいつもの減らず口を返せば、眉間に皺を寄せた比呂さんのツッコミが飛んで来て。それに思わず笑ってしまったところで、「ごめん深町、お待たせ」と、電話を終えたらしい樹くんが戻って来た。

その直前に比呂さんは私からスッと離れ、「お待たせ致しました、コーンビーフポテトサラダと4種のソーセージ盛り合わせです」と、しれっと営業モードに切り替えてそれらをカウンターに置いた。