「な、何を……⁉︎」

「………。」


その勢いに、こちらは若干身を引きながらビールジョッキをテーブルに戻しつつ、恐る恐る尋ねる。

佐原くんも鶏皮ポン酢を摘みながら、胡乱(うろん)な視線を彼女に向けていた。



そして戸惑う私たちに、珠理ちゃんは高らかに宣言する。



「ーーその名も、"中村珠理プレゼンツ☆灯さん改造プロジェクト!"略してAKPです!」



「………はいっ⁉︎」

「………改造?何だその物騒なプロジェクトは。つーか略すな」



珠理ちゃんから飛び出した突然の宣言に、ポカン、と呆気に取られる私と即座に突っ込む佐原くん。

でも、そんな私たちにそれ以上詳しく説明する気はないらしい珠理ちゃんの勢いは止まらない。


「灯さん!明日の土曜日はお暇ですか⁉︎」

「う、うん……⁉︎暇、だけど……」


タジタジになりながらもそう答えれば、珠理ちゃんの顔がパァっと輝いた。


「じゃあ灯さんの明日1日を、私に下さいっ!この前の約束の分ってことで!私と、デートしましょうっ⁉︎」

「はっ、はい……っ」


もはやテーブルに手を付き、椅子から腰を浮かせて私の眼前にまで迫って来た珠理ちゃんを(かわ)すことは不可能で。

その勢いに気圧されて、私は反射的に返事をしてしまっていた。


「やった!ふふふふ……っ、AKP……」


私から了承を得た珠理ちゃんが、ニマニマと不気味な笑みを浮かべている。


その笑顔の裏で何を企んでいるのかは分からないけれど、どうやら私は明日珠理ちゃんに、改造(?)されてしまう、らしいーー。