「ーー灯さん。元カノは元カノ、所詮過去の女です!」
私から昨日の夜の出来事を聞いた珠理ちゃんの第一声が、それだった。
「同感です。深町さん、1つ確認ですけど、和泉さんは深町さんに告白した時、そこでフラれて終わりにするつもりはないと3ヶ月のチャンスをもらったんですよね?」
「う、うん……」
「つまり和泉さんはこの3ヶ月に賭けてた訳で、それだけ深町さんのこと、本気だったってことですよ。そんな人が、今更3年前に別れた元カノにアプローチされたからと言って靡くとは、到底思えません」
佐原くんも、冷静に分析しながら珠理ちゃんに同意する。
それにうんうんと深く頷いた珠理ちゃんが、さらに続けた。
「それに私、灯さんの平日デートの時、灯さんをデート仕様にしてエントランスまでお見送りした後、実はそっと2人の待ち合わせ風景を見守ってたんですけど、」
「……えっ⁉︎」
珠理ちゃんは平日の仕事終わり、和泉さんとデートをする日は必ずあのいつもの女子トイレで私を綺麗にしてくれて。一緒にエントランスまで降りてそこで別れていたのだけど、まさかそのまま待ち合わせているところを見守られていたとは知らなかった……。
「大体いつも灯さんが気づくより先にイケオジが灯さんに気づくんですよ。で、イケオジ、灯さん見つけた時本当にすっごく嬉しそうに顔綻ばせるんです」
「和泉さんが……?」
「はい。それで灯さんがイケオジに気づいて駆け寄って行くと、今度は愛おしくて堪らない!みたいな表情になって。もうあんなの、見てるこっちが毎回きゅんきゅんなんですよ!」
珠理ちゃんが両手で顔を覆って身悶えているけれど、まさかのカミングアウトがこそばゆ過ぎて、私の方が悶えてしまいそうだ。



