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「中村、これは何」
仕事終わり、珠理ちゃんとこの前の居酒屋の、この前と同じテーブル席に案内されとりあえずの注文を済ませてから数分後。
今日は外回りから直帰予定になっていたとある人物が後からやって来て、スマホをズイっと珠理ちゃんの前に翳す。
「何って、緊急招集?」
「何事かと思うわ、こんなん」
「へへっ」
「へへ、じゃねーし」
「いてっ!」
スマホを下ろし、笑って誤魔化す珠理ちゃんを軽く小突いた彼は、ネクタイを緩めながらそのまま彼女の隣に座った。
前回と、全く一緒の配置である。
……そう、緊急招集されたのは、佐原くんだ。
うん、そうじゃないかと思ってた。
そして程なくしてさっき頼んでいたドリンクとお通し、叩ききゅうりの梅和えと鶏皮ポン酢が運ばれて来たところで、佐原くんが追加でビールを頼んだ。
「……珠理ちゃん、佐原くんに一体何て送ったの?」
すると佐原くんがすっと、私にスマホの画面を見せてくれる。
"緊急事態発生!仕事終わり、この前3人で飲んだ居酒屋に現地集合!"
あー……。
「……ごめん、佐原くん。私が珠理ちゃんに緊急事態ってSOS出しました……。毎度すみません」
「はは。まぁそうじゃないかとは思ってましたけど。……で、どうしたんですか?そろそろ和泉さんに絆されちゃいました?」
「えっ⁉︎なっ、何で……っ⁉︎」
そこで「お待たせしましたー!生中でーす」と元気の良い店員さんに運ばれて、佐原くんのビールもやって来た。



