「……あー……、うん、それも、ある……」

「やっぱり…………、ってちょっ、えっ⁉︎待って下さいっ!灯さんっ、まさか、自覚あったんですか⁉︎」


聞かれるがまま素直に返せば、そう来るとは思っていなかったのだろう、驚いた珠理ちゃんがこぼれ落ちんばかりに目を見開いて口元を押さえた。


「………まぁ自覚したのは昨日の夜、なんだけどね………」

「……昨日の夜……」  

「うん……」
  

"もう一度、頑張っちゃおうかな"


昨日の夜を思い出せば、どうしても彩也子さんのあの言葉と屈託のない笑顔がセットで浮かんできてしまう。

あー、邪念が全然払えてない……!


「灯さん、眉間に皺が……。それに目の下にはクマも」

「わっ」


昨日も比呂さんにグリグリされたそこを、珠理ちゃんの細くて白い人差し指につんつんつつかれる。


「ひょっとしてひょっとしなくても、灯さん、今緊急事態じゃないですか?」


さっきの表情からは一転、とても真剣な眼差しをした珠理ちゃんがずいっと身を乗り出して来た。


「緊急事態……」

「ヘルプですか?」

「ヘルプ……」


そこで思い出した。前に私が和泉さんに告白をされた時、珠理ちゃんに緊急事態、ヘルプ!と助けを求めたことを。


……珠理ちゃんの優しさが沁みる。