「そ、そういうことなら……、私もこのプリン好きでたまに買うので、有り難く頂きます」

「良かった。ありがとう」

「いやいやこちらこそです。あ、加藤先輩は紅茶はお好きですか?」

「うん?好きだよ」

「じゃあ先輩にはこれを。フレーバーティーなんですけど、すごく美味しいので休憩の時にでも良かったら」


箱の中から個包装されているティーパックを1つ取り出して先輩に渡す。


「……いいの?」

「はい。あっ、私みたいに蒸らし過ぎないように気をつけてくださいね」

「ははっ、ありがとう、気をつけます」


先輩は可笑しそうに笑った。


「それじゃあ、先に行くね。午後は割と落ち着いてるんでしょ?深町さんは午前中頑張った分、ゆっくり休んでからおいで」


そしてふ、とメガネの奥の瞳を柔らかく細めた先輩は、そう言って給湯室を出て行った。




……加藤先輩、違うんです。午前中の激務に疲れていた訳では決してなくて、完全にプライベートなことでボーッとしてたんです、ごめんなさい……。

加藤先輩の優しいお気遣いにちょっと罪悪感……。

はぁ、しっかりしなきゃ。仕事にプライベートを持ち込んじゃうなんて、多分初めてだーー。