「君、死ぬの?」
「えっ?」
さびついた鉄の手すりに手を置いたまま声のした方を見ると、学校の屋上に置かれた一つしかない古びたベンチに男子生徒が座っており、こちらをじっと見ていた。
「君、死ぬの?」
彼はもう一度、同じ質問を繰り返した。
「うん。まあ…」
「ふ~ん。なんで?」
「…生きる意味が見つからないから」
「つまり、暇ってことか」
「そんな言い方…。ていうか、あなた誰?」
こちらからは逆光で相手の顔がよく見えず、誰か分からない。
「俺だよ。同じクラスの沢村。沢村海斗」
「えっ?なんでこんな所に一人でいるの?」
彼はクラスの人気者で一人でいるところなんて見たことがなく、常に周りには人がいた。
「ちょっと、薬を飲みに」
「薬?」
私が首を傾げると沢村は爽やかな笑顔で
「俺、3か月後に死ぬから」
と言った。