クールな幼なじみが本気になったら

「俺、…言ったよな?しずくに話したいことがあるって」

「けど、それくらいあとでメッセージを送ってくれたら――」

「それじゃ、ダメなんだよ…!」


いつもはクールで物静かなりっくんが、突然大きな声を出すから、わたしは目を丸くしてしまった。


自分でも取り乱したことに驚いたのか、りっくんは恥ずかしそうにコホンと咳払いをした。


「メッセージじゃなくて、直接しずくに話したかった」

「…そうなの?なんの話だろう」

「これだよ」


そう言って、りっくんはリュックのポケットからなにかを取り出した。

それは、長細い赤色の布。


そう。

体育祭のハチマキだ。


「これ、終わってから気づいたんだけど、なんなんだよ?」


怒っているような…りっくんの低い声のトーン。


りっくんの指差すところを見ると、ハチマキの端に『篠田芽依』と小さく名前が書かれてあった。