クールな幼なじみが本気になったら

でも、親友の芽依のお願いだから、わたしは自然に帰るフリをして、りっくんにはちゃんと芽依を送るように頼んでおこう。


そんなことを頭の中で考えながら、芽依といっしょにゆっくりと後ろからりっくんに近づいた。



「りっくん!」

「…ん?…あっ。しずく、篠田さん」

「今日はお疲れさま、律希くん!」

「ああ、お疲れ」


そんなりっくんとの些細な会話でさえ、芽依はうれしくて悶えている。


今日の体育祭についていろいろと話していたら、あっという間に分かれ道の突き当りに差し掛かった。


ここでわたしは、芽依の頼みごとを平静を装って実行に移す。


「あ、そうそう!確かりっくんの家に行くまでの道に、最近新しいパン屋さんができたよねっ」

「ああ、あそこのパン屋な。朝いつも混んでるよ」

「ちょうど、芽依の家ってあの辺りなんだって!」