クールな幼なじみが本気になったら

それほど、1年生や3年生との力の差はなく、ほとんどのレースが僅差でゴールしていた。


そんな中、他を引き離してぶっちぎりでゴールをしたのは――。


「「律希くーーーーーん!!」」


ファンの黄色い声援を背中に受ける、りっくんだった。


さすが、運動神経のいいりっくん。

同じレースを走り終わった他の人は、ハァハァと肩で息をしているというのに、1位でゴールしたりっくんは涼しい顔をしている。


そんなりっくんを遠めから見ていたら、わたしに気づいてくれた。


『すごいね!』


口パクでそう言ってみると、りっくんは微笑んでくれた。

すると、隣にいた芽依が…。


「しずく、見た!?今のっ!?律希くん、あたしのほう見て笑ってくれたよ!」


自分に微笑んでくれたと思った芽依は、大興奮だった。