クールな幼なじみが本気になったら

りっくんが、握ったわたしの腕を引っ張ってくれたおかげで、人混みから抜け出すことができた。


「流れに逆らって、なにかを探してるしずくが見えたらから近づいてみたら…」

「ごめんねっ。ちょうどりっくんを探してて…」

「…俺を?」


首を傾げるりっくん。

わたしは、頭に巻いたハチマキをスルリと解いた。


「あの…その…。実は…、りっくんとハチマキを交換したくて…」

「俺の…このハチマキ?」


りっくんは、腕に巻いていた自分のハチマキに視線を移す。


「…しずく。お互いのハチマキを交換って、…それってどういう意味か知ってて言ってる?」


この学校で、この恋まじないのことを知らない人はほとんどいないだろう。

もちろん、りっくんも知っている様子。


だからわたしは、ゆっくりと頷いた。