クールな幼なじみが本気になったら

すぐに交換できるようにと、予め芽依のハチマキを受け取っていた。


わたしの頭に巻いているのが、芽依のハチマキ。

わたしのハチマキは、今は芽依が持っている。


こんなことで、本当に両思いになれるとは思っていないけど、連絡先は教えてもらえなかったから、せめてハチマキだけは芽依のお願いを聞いてあげたい。


わたしは、開会式後のばらける人混みの中でりっくんを探した。


だけど、背が低いわたしは流れとは逆のその人混みに飲まれてしまい…。


「うわっ…!」


人と人とにぶつかってバランスを崩したわたしは、そのまま後ろへ倒れそうになり――。


「…あっぶねぇー。こんなところでなにしてんだよ」


派手に尻もちをつく寸前で、人混みの中からりっくんがわたしを救出してくれた。


「…りっくん!」