クールな幼なじみが本気になったら

「すっげーうれしい。もっと呼んで」


りっくんが甘い声で、耳元で囁いてくる。


「で…できないよ。恥ずかしい…」

「そんなふうに恥ずかしがるしずくも大好き。もっといじめたくなる」

「や、やめてよっ…」

「じゃあ、もう1回だけ名前で呼んで?」


りっくんの吐息が耳にかかってくすぐったい。

こんな通学路のど真ん中で、甘い声で迫ってくるなんて…まるで拷問だ。



「り…律希、帰ろ…?」


りっくんの制服の袖をちょこんとつまんで、なんとか声を絞り出した。


そして、ゆっくりとりっくんを見上げると、満足したように笑みを見せた。


「しずくに名前で呼ばれるの、たまんない。それに、その仕草も。…誘ってるの?」

「ちっ…違うよ!」

「わかってるって!しずくの困る顔がかわいいから、ついついいじめたくなっちゃうだけ」