クールな幼なじみが本気になったら

「…あっ!ちょっと待ってください!」


走りが苦手なわたしをりっくんがリードしてくれて、なんとか新聞部の追っかけをまいた。



「あれ〜…。確かに、こっちに走っていったような…」


まだ近くに、新聞部の人の声が聞こえる。

わたしとりっくんは息を殺して、とある場所に隠れていた。


「もしかしたら、あっちに行ったのかもしれない!」

「よし!じゃあ、探しにいこう!」


パタパタと遠のいていく足音。

ようやく張り詰めていた糸が解けて、安堵したため息をつくことができた。


「…危なかったね、りっくん」

「ああ。でもまだ油断はできないから、しばらくはここに隠れていよう」


わたしとりっくんが隠れているのは、片付けが終わった体育館の倉庫の中。

とっさにここに隠れたものの、意外と中はごちゃごちゃしていて、2人で身を寄せて隠れるのがやっと。