クールな幼なじみが本気になったら

うつむき加減で、芽依と男の子たちの間を縫うように進んでいたら――。


「ちょっといい?」


突然、だれかに右手首を握られた。


驚いて振り返ると…。

なんと、そこにいたのはりっくんだった…!


「…りっくん!撮影はどうしたの…?」

「終わった。っていうか、早く終わるようにした」

「…そうなんだっ。あ…、それよりもこの手っ…」


周りには、たくさんの人。

だれかに見られたら大変だ。


しかし、振り解こうとするわたしに反して、りっくんはさらに力を込めて握った。


「いいんだよ、これで」


りっくんのその言葉に、首を傾げるわたし。


「篠田さん、ごめん。ちょっとしずく、借りてもいいかな?」

「それはもちろん!」


そう言って、芽依はなにかを察したのだろうか、満面の笑みでわたしたちを送り出した。