クールな幼なじみが本気になったら

それに、地味なわたしは、もはや背景の一部として溶け込んでいるのかもしれない。 


すると、ため息をつくわたしの肩を芽依が叩いた。


「それならあたしが、律希くんが放っておけないように仕上げてあげるよ♪」


自信あり気というふうに、芽依が口角を上げた。



空き教室に連れて行かれ、中に入ってから十数分後…。


「…芽依。なんだか恥ずかしいんだけど…」

「そんなことで恥ずかしがっててどうするの〜。みんな、それくらいしてるよ?」

「そ…そうなの?」


芽依から、手鏡を渡される。


そこに映っていたのは、上向きにカールしたまつげ、ほんのりピンクに染まった頬、うるうるツヤツヤのグロスをまとったわたしの顔だった。


芽依にされるがまま、初めてのメイクをしてもらった。


「…なんだか、自分じゃないみたい」