「アメリカへ行って、父さんを探した。軍はやめていたから、探すの大変だった。今は、小さい街のスーパーで、警備員として働いている。」

「タケル…。それで話はできたの?」


タケルは始めて微笑んだ。


「だから君を探した。僕はカタコトの英語で、必死にしゃべったよ。笑。父さんが僕の母さんと結婚する前に、桜子のお母さんと一緒だったのは本当らしい。でも、その時妊娠していたのは、今の御主人との子供だと、桜子のお母さんから言われたそうだ。それで別れてから、僕の母さんと結婚したんだ。だから僕と桜子は、兄弟じゃない。安心して。」

そう言うとタケルは、桜子を抱き締めた。


「僕達は、言われもない事でバッシングを受けて、随分苦しんだ。仕事も名誉も一辺に失って…。これで、少なくとも名誉だけは、回復できる。でも、仕事はもう無理だ。僕もあの世界に、未練はない。」


桜子は、タケルの腕を解くと顔を上げた。


「タケルはこれからどうするの?」

タケルは、ケータイで、何処かへ電話した。