仕事場につくと、桜子の他に2人のモデルが来ていた。桜子は、着替えの枚数を確認した。売れてる子のほうが、着替える枚数が少ない。仕事は、やっぱ楽しい。
でもね、くたびれた。
小さい仕事でも、ちょこちょこ入ればなー。バイト辞めれるのに…。

もっともバイトだって、モデルの仕事優先すると休んじゃうからね、長続きしないの。

あたし、絶対有名になって、皆を見返してやる。


桜子の父親は、ギャンブル三昧で、家のお金を持ち出しては遊びほうけてばかりで、殆ど家に帰って来なかった。
母親は、そんな父親に愛想をつかし、会話はなかった。僅かに残った蓄えも、母親は自分の為に使った。
桜子は、小さい時からひもじい思いや惨めな思いをして育った。

だからだわ、あたしがモデルになったのは。小さい時から、洋服は他人のお下がりばかり…。大人になって、自分の為に選んで好きな物を着るの、最高だもん。