桜子はしばらく、バイトも探す気にならなかった。
智也がもし、司法試験を受からなかったら別れなくてはならない。そうなったら、アパート代も生活費も、全部自分で稼がなくちゃならない。
そうなったらモデルの仕事は、なかなかできなくなる。

毎日ため息ばかり…。

智也は、桜子と別れたくないと、司法試験の猛勉強を始めた。


「ねえ桜子、お腹空かない?」


智也が、机にかじりついてた頭を、持ち上げて言う。

「いいよ、暇だしなんか買って来てあげる。」


桜子は、コンビニへ向かった。
途中で中学生らしき女の子が、桜子を見て指を差す。
何みてんのかな…、桜子はそう思いながらコンビニへ入った。
いつものように買い物してると、また高校生くらいの男の子が、桜子の顔をじっと見た。
落ち着かなくなって早々とレジへ行くと、いつもの店員が言った。


「CM見てますよ。まさか、いつものお客さんが芸能人なんて、びっくりですよ。」


「あ、いえ、そんな…。」


桜子は言葉に詰まった。
こっちこそびっくりだわ。あんなちょこっと、CMにでただけなのに…。
でも、なんだか気分いいし。桜子は浮かれてコンビニをでた。