やっと、光が見えてきたのに。やっと、運が向いてきたと思っていたの。智也が、いなくなったらこの部屋は…。
桜子は、重い口を開いた。


「ねえ、あたしまだ19よ。やりたい事いっぱいあるし、仕事もこれからだし…。」


「わかってるよ。お前の夢だしね。無理は言わない。」


2人はそれ以上、その話に触れなかった。


「ねえ智也、昨日のCMは2ヶ月後に流すのよ。ギャラも、2ヶ月先だけどさ。」


桜子は、ため息をついた。バイトも首になったし、これからどうしよう。
それを見透かして智也が言う。


「いいじゃない。家にいて自分を磨いてれば?俺がいるし。笑。」


智也が、抱き付いた。


「あーん、もう智也は…」


智也は、桜子の唇をふさぐ。そのままベッドへ倒れると、いつもより強く抱き締める。


「あ、とも…。」

「桜子…。」


2人の弾んだ息だけが、部屋に響いた。


智也ってば、やっぱりヤキモチ妬いてる。昨夜泊まったの、気になるんだ。