桜子はタケルの家を出ると、改めてお城のような家を見る。夕べは暗かったし。昼間見ると、やっぱすごいな。


「ご飯までご馳走になって、ありがとう。」


桜子は帰ろうとした。


「ちょっと待って、送るよ。」


「え?送るって?」


桜子が不思議そうな顔をすると、タケルは車を玄関まで呼ぶ。


「な、何?運転手つき?」


「さあ、いいから乗って。」


タケルの後に、桜子も乗った。
そのまま、アパートの前まで送ってもらった。


「タケル、ありがとう。ていうか…言葉がないわ。」

「あきれたかい?笑。桜子、CMオンしたら、又会おうぜ。」


タケルは、運転手つきの車で帰って行った。

桜子は、車が走り去るまで見送った。その時、不意に肩を叩かれた。


「今の誰?昨日撮影だったんだろ?」


「あ、智也、そうよ。夜中までかかった。帰りそびれて、タケルの家に泊まったの。」


「何?あいつか!この間のハーフの。」


智也は、面白くない顔をした。


「なによ、なんにもないわよ、あんな奴と。」


「別にさ、疑ってなんてないよ。」

智也はそう言うと、部屋へ戻った。
桜子も、その後を追って入った。