タケルは、もう事務所に来ていた。

「あら、タケル早いのね。」


桜子は、上から目線で言う。

タケルは、ふふんと鼻をならした。
桜子はカチンときて、何か言おうと思ったらマネージャーが口を開いた。


「さあ、じゃ始めるわよ。」


テンション高いし。

衣装を合わせて、撮影が始まった。

誰も無駄な話はしない。ただフラッシュの光と、カメラのシャッター音だけが響いていた。


「はい、お疲れ様。」


2人の撮影が終わる。

タケルも桜子も、心地よい疲労感でいっぱいだった。
マネージャーが言う。


「じゃあ、また連絡するから。お疲れ様、体調崩さないように。」


2人とも、念をおされて事務所を出た。

タケルが口を開いた。


「ここだけの話だけどね、橘琴美はクレーマーらしいよ。かなりうるさいらしい。」


「あら、そんな情報どっから仕入れたの?」


桜子が、疑わしい顔で聞いた。


「マネージャーさ。ちょっと甘えてみたら、色々教えてくれた。笑。」

「ねえ、タケル、ずるくない?そういう抜け駆けみたいのやめない?」
タケルは、得意気に言う。


「だってさ、お前だって知ってたほうが得じゃん。」

「何よ、お前って、あたしのほうがいっこ上だし。他にも知ってるんだったら教えてよ。」


「ヤダねー、まっぴら!」


「ちょっとー、タケルってばー。」

桜子は、走り出すタケルを追いかけた。