「今日は事務所行って、打ち合わせとプロフの写真撮りなの。」


朝から桜子は慌ただしい。
智也も、出かける用意をした。


「ねえ、出かけるの?」


「ああ、ちょっと実家にさ。一回顔見せろってうるさくてさ。」


「そう…。」


「俺、遅くなるから。」


「うん、あたしも今日わからないから。」


「お前さ、バイト先に連絡したの?そんな宙ぶらりんなら、辞めちゃえば?俺が一緒にいるんだし。」


そう言いうと、智也は桜子にキスをした。


「じゃ、行ってくるわね。」


桜子は、先に出かける。智也は、後ろ姿を見送りながら声をかけた。


「おーい。頑張れよー!」


桜子は、後を振り返らずに手だけをあげた。