智也は、面白くない顔で聞いた。


「あいつ誰?」


「今度、一緒に仕事する子よ。ハーフなの。」


「随分親しげじゃない?」


「またヤキモチ?笑。ビジネスよ、わかるでしょ。この世界ではね、今日あったばっかりでも、調子合わせて話ができないとさ。」


「ふーん、ややこしい世界だな。まあ、いいや。ところでどんな仕事?」


コーヒーのおかわりを飲みながら、智也が聞いた。


「あのね、ブルーアイスクリーム株式会社。」


智也は、飲んでいたコーヒーを吹き出しそうになる。

「ほんと?すごいじゃない。」


「あは、そうでしょ。」


桜子は得意気に言う。


「でもね、メインじゃないの。メインは、智也も知ってる歌手の橘琴美よ。」


「えー、あの橘琴美?すごいな、大抜擢じゃないの?」


「うん、チャンスだけど、かすまないように頑張る。」


桜子は、いつになく真剣な顔をしていた。
桜子が言うように、これはチャンスだった。