「はー。緊張する。」
高校の入学式に行く手前、朝食の納豆かけご飯を食べながら私はそんな弱音を吐きだした。
心の重りになっているのは一つ。
友だち作りだ。
自然にできるよ、と呑気に上から目線でいう奴なんか信用ならない。
ぼやぼや行動せずにいたらボッチ確定だ。
友だちは勝ち獲るもの。
風当たりの弱そうな雰囲気を持ち、誰でも受け入れ可能的存在の子をいち早く察知し、まだ誰も声をかけていないのを見計らって話しかけに行く。
しかし、そのつくる相手に失敗することもある。
だがどうせその場しのぎの事、自分を押し殺して相手に合わせとけばなんとかなる。
自分がひとりみじめにいるよりは全然まし。
まずは、2人組をつくり、この人はこの人と一緒にいるよね、というイメージをクラスの人たちに与えなければならない。
いっつもひとりというレッテルを貼られるのなんて耐えられない。
とにかく自分が一人にならないよう、友だちという保険をかけておくのだ。
一人ぼっちになるということを想像するだけで吐き気がする。