隣の君は、太陽の笑顔









6時間目、数学の授業を受けていた。



でも今、ちょっと、いや、結構眠たいです。




今の時期は暑さが増してきている7月。

それに、一日の気温の中で、一番気温の高い午後2時過ぎ。

窓の外を見ると、よく晴れた空。 

日当たりの良い校舎。

静かな教室。

窓側の席。

少し窓が開いているところから入ってくる涼しい風。 

昨日少し遅くまで起きていたための睡眠不足。

シャーペンの心地良い音。



いくらでも出てくる、眠たくなる要素を掻き集めたようなこの時間、この空間は、私のことを寝させようとしているも同然だった。




けれど、意地でも授業中に寝たくない私は、睡魔と葛藤していた。
 


起きろ!そう心の中で何度も叫んでいるのに重い瞼。

ゔぅ…眠たい………。










「じゃあこの問題、遠江答えて。」


「っっはい、」






……やばい。全く聞いてなかった。


おかげで目は覚めたけど、黒板には沢山の問題が書かれていて、今どの問題をしているのかさえ、わからなかった。

固まった。どうしよう…。









すると誰かが私の肩を優しくトンッと叩いた。











甲斐くんだ。








彼はノートを開いて、ある答えを指差していた。


私は恐る恐る読み上げる。




「はい、正解だ。」



ホッと胸を撫で下ろした。
一気に肩の力が抜ける。
  


授業中だから小さい声で彼にお礼を言う。




「ありがとう」




彼はさも当然のように、いつもの眩しい笑顔を見せた。